中小企業経営強化法の目的と仕組み
中小企業経営強化法とは、国が中小企業に対して生産性向上のための支援を行ってくれる仕組みのことです。事業所轄大臣が策定した「事業分野別指針」には、各業種における現状認識や課題、目標、経営力アップのための指針が記載されています。中小企業はこの指針を踏まえ、自社に合った形の経営力向上計画を策定していくことになります。
簡単に表現すれば、経営に関連する有益なノウハウを国がまとめてくれているので、それを参考に新規設備の導入などを図り、生産性を向上しましょう、というもの。それだけでも十分に価値があるのですが、中小企業経営強化法の場合にはこれに加えて税制優遇などのメリットが受けられるのもポイントです。
中小企業経営強化法を活用するメリット
中小企業経営強化法を活用した場合、適用を受けた企業には固定資産税の特例と中小企業経営強化税制という税制措置が受けられます。具体的には、新規に導入した設備の固定資産税が3年間の間1/2になるとともに、即時償却もしくは取得価額の10%を税額控除できるというものです。
コインランドリー経営者が受けられる中小企業経営強化税制
コインランドリー経営における中小企業経営強化法の税制優遇として、もっとも使いやすいのが中小企業経営強化税制です。これは、青色申告を行う中小事業者が中小企業経営強化法の認定を受け、その計画に基づき新規設備を導入した場合、即時償却が行えるというもの。初年度に大幅な利益が出た際などは、それを次の設備投資へと回すのがセオリーです。この際に減価償却ではなく即時償却ができれば、大きな節税効果が見込めるでしょう。さらに、固定資産税の特例も受けられるため、新規設備に対する固定資産税が半額になるというメリットもあります。
中小企業経営強化法による支援を受けるための条件
では次に、中小企業経営強化法の適用を受けるための定義についても見ていきましょう。3点のチェックポイントをご紹介します。
- 法人であり、資本金が1億円以下である
- 資本金や出資金を有していない法人であり、かつ常時使用する従業員が1,000人以下である
- 個人であり、常時使用する従業員が1,000人以下である
中小企業であれば、おそらく多くの事業者が上記の条件には当てはまるでしょう。ただし、以下の要件に当てはまる法人の場合には適用がなされないので合わせてご注意ください。
- 資本金が1億円以上、もしくは常時使用する従業員が1,000人以上の法人（大規模法人）から、1/2以上の出資を受けている
- 2社以上の大規模法人から2/3以上の出資を受けている
自己資金や自己の借入などでコインランドリービジネスをスタートしているのであれば問題ありませんが、法人から出資金を募った場合などは中小企業経営強化法対象外となる可能性があります。申請前に、一度自社の出資割合等について確認しておくことをお勧めします。
即時償却の場合の注意点
前々項でお伝えしたコインランドリー設備の即時償却については、申請においていくつか注意点があります。
まずは要件について。即時償却が行えるのは取得価額が160万円以上の機械および装置に限定されています。また、生産性が年平均で1%以上向上することが見込めることが条件となっています。
加えて、中小企業経営強化法については工業会の証明書を取得する必要もあります。この点については、新規設備が証明書取得の対象になるかどうかを業者に対してあらかじめ確認しておかなければなりません。
また、即時償却の申請については設備購入前に行う必要があります。購入後では適用となりませんので、注意が必要です。
その他、制度の利用には担当省庁からの認定が必要ですが、これを受けるのは事業年度内であることが求められます。確認・認定には時間がかかりますので、経済産業局への確認書発行や担当省庁への計画申請は余裕を持って行いましょう。
まとめ
コインランドリー経営をはじめるにあたり、今回ご紹介した中小企業経営強化法を活用する企業家の方は少なくありません。策定しなくてはならない経営力向上計画については少しハードルが高いように感じるかもしれませんが、税制優遇を受けて更にコインランドリー事業を拡大するためには、ぜひ活用していただきたい制度のひとつです。